2019.02.23 06:39ニューエイジをめぐる対話(7) 「新霊性運動」の歴史的な意味 NOBORU:第三の道 最近のやりとりの論点を整理して見ますと、私がニューエイジや新霊性運動に歴史的な側面から肯定的な意味を読み取ろうとしているのに対し、パラトラパ雅さんは、その現実的な場面での様々な問題を指摘することによって、かなり否定的な見解を示しているように思われます。現実に金儲けのためなら何でもするようなニューエイジ商法やそれに巻き込まれた運動に、歴史的に肯定的な意味は読み取りにくい、というのがパラトラパさんのお考えのように思われますが、いかがでしょうか。 それに対し私は、今まで宗教が担っていた働きを、もっと新しい形で持ちはじめたのが新霊性運動ではないかと考えるわけです。新しい形というのは、閉ざされた組織や閉ざされた知識(教...
2019.02.22 00:11ニューエイジをめぐる対話(6) 「新霊性運動」の捉え方 NOBORU: 理性に対する感性の復権 さて、私はニューエイジ運動というより、もっと広く「新霊性運動」とでも呼ぶべき潮流を歴史的な視野の中で捉えてみたいのです。 近代科学の知は、あらゆるものを対象化し物質的・客観的な因果関係に還元して説明することで成立しています。しかし、その世界観にしたがう限り世界と自分との意味に満ちたつながりは考えにくいのです。それどころか自分の生命すらも、原理的には道端にころがる色あせた一片のプラスチック以上の意味はもたないと見るのです。 心の中で何かをごまかさない限り、人間はそういう世界観にがまんできないのではないでしょうか。 だからこそ私たちは、周囲の事物と、それらによって成り立つ世界を「宇宙論的に濃密な意味をもったものと...
2019.02.21 23:46ニューエイジをめぐる対話(5) 『カルト資本主義』をめぐって ここでのNoboruの最初の発言は、パラパトラ雅さんとの対話としてではなく、 掲示板の中の一般の発言であったが、 パラトラパさんの「この問題もテーマにあげよう」との提案で、 しばしこのこの問題で対話が続いた。 NOBORU: 今『カルト資本主義』斎藤貴男(文芸春秋社、1997年)という本を読んでいます。 ソニーの超能力研究や、京セラの稲盛和夫、EMの比嘉照夫、経営コンサルタントの船井幸雄などが、 オカルト批判の立場から俎上にのせられています。 私が全く知らなかった内情が報告されたりしていてとても面白いです。もちろん著者の固定観念・偏見のたぐいによって本質的なところが見えていなかったり、 歪められたりしているのも感じますが これがもし本...
2019.02.21 11:44ニューエイジをめぐる対話(4)前世療法をめぐって(2)ニューエイジをめぐる対話(4) 前世療法をめぐって(2)NOBORU:ありがとうございました。ご苦労様でした。 パラトラパさんの主張は以下のように理解してよろしいでしょうか。まず、イアン・スティーブンソンによる、「生まれ変わり」の研究は、その事例を徹底的に調査している信頼のできるものであるということ。信頼に値する事例を選りすぐり、「生まれ変わり」を語る子供の記憶が、想像その他、「生まれ変わり」以外の理由によるものとは考えにくいことをとことん論証している。 それに対し「前世療法」においては「催眠意識の特性を活かした治療が行われており,イメージや空想を活性化させていくことでカタルシス(感情浄化)を促進し,トラウマ(心的外傷)の解消を試みるわけですが,治療効...
2019.02.21 08:47ニューエイジをめぐる対話(3)前世療法をめぐって(1)対話(3) 前世療法をめぐって(1)NOBORU: 「伝統宗教や組織にしばられず、かつ大衆的に広がる霊的・精神的な関心」としてのニューエイジ・ムーブメントは、現代の行き過ぎた科学主義や物質主義を打開していく可能性を秘めています。しかし、この運動がが大衆化すればするほど、それが間違った方向に進んでいないかどうか絶えずチェックする必要も大きくなります。 それで、以下の四点から、この運動を批判的に考えてみようと、パラトラパ雅さんとの対話が始まりました。 1)内実を伴わない権威主義的な傾向に陥っていないか。 2)実証的に確認していくという姿勢を失っていないか。 3)すべてに対して開かれた在り方を失っていないか。 4)個としても集団としても自己肥大化するエゴイズ...
2019.02.21 08:28ニューエイジをめぐる対話(2)権威主義をめぐって(2)権威主義をめぐって(2)NOBORU:「権威主義的性格」で宗教改革を説明できるか ところで、さきに権威主義的な関係の中での絶対服従と、宗教的な深みに達した帰依とが、一見きわめて似ていることから、いろいろな問題が起こるのではないかと述べました。フロムが、ルターの宗教改革思想を、「権威主義的性格」によって説明したとき、もしかしたら宗教的な帰依の本当の意味を見落としていたのではないかとも述べました。 フロムによれば、ルターの神にたいする関係は、完全な服従でした。もし人が個人としての無意味さを認め、自分を徹底的にないものにして神の前に投げ出すなら、全能の神に愛され、受け入れられ、救われるであろう。不安と疑いに満ちた個人的自我を、徹底的に自己放棄してはじめて、...
2019.02.20 13:30ニューエイジをめぐる対話(1)権威主義をめぐって(1)paratorapa:権威主義について それでは、 まずは1)の項目から,少し私の思うところを開陳させていただきたく思います。 まず,権威主義的傾向について。特定の個人や組織の権威に対して,服従し,権威者以外に対して攻撃性,敵意をもつ傾向です。認知が硬く,ものごとを善悪,白黒,先入観としてとらえる性質が強く,偏見や差別に通じる心理的な性質も持っています。 権威主義的な傾向の強い人は,権威者とのコミュニケーションのチャネルのみが開いており,権威者の顔色だけをうかがうようになりますし,大義名分を与えられ,権威者によって正当化された場面の定義を無批判に受け入れるようになり,あたかも自らの意志ではなく,権威者の「代理人」として行動するようになり,自らの行動に対...
2019.02.18 13:25ニューエイジをめぐる対話2001年1月07日から2001年7月22日まで、パラトラパ雅さんとNOBORUとの間でニューエイジをめぐる対話を行った。この対話は、もともとYahoo!掲示板>科学>オルタナティブ>精神世界フォーラムで行われたものである。 それで、当時の対話の形をできるだけ残しつつ、しかも重複する部分などを整理しつつ、二人が対座して対話しているような形をとって、ここに再録する。 なお、この対話の私=NOBORUの発言内容の一部は、論文として再構成し、論文集に収録する。目次はじまり対話(1)権威主義をめぐって(1)対話(2)権威主義をめぐって(2)対話(3)前世療法をめぐって(1)対話(4)前世療法をめぐって(2)対話(5)『カルト資本主義』をめぐっ...